| 819575 対岸俳句会 819575 対岸俳句会 819575 対岸俳句会 819575 対岸俳句会 819575 対岸俳句会 819575 対岸俳句会 |


| 表紙絵 久家 二三子 |



富 士 山 今 瀬 剛 一 12月4日(日)晴、振り返っても雲一つない快晴の十国峠から富士山を見た。富士山は雪を頂いてくっきりと聳えて、全くあからさまにその全容をさらしている。それこそ雪の襞、長い裾野の果てまでくっきりと見えるほどであった。こんなに間近に、しかも富士山の完景を見たのは初めてなので、強い感動を覚えた。しばらく富士と対して視線を背後へ向けるとそこには青々とした凪いだ伊豆の海が目に痛いほど広がっていた。 枯れた芝の上を海の方へ下っていくと、その果てに源実朝の歌碑が建っていた。 箱根路をわが越え来れば伊豆の海や沖の小鳥に波の寄る見ゆ 私は実朝が将軍の家に生まれた悲劇を思った。そのためにあたら27歳という若さでこの世を去った歌人の才能を惜しいと思った。・・・・ 歌碑からの帰路、枯れ草の中に枯れ残っている薊の花を見つけた。はじめは薊だけかと思っていたらその薊が動く、よく見ると蝶がとまって羽を閉じたり開いたりしているのだ。さらに見ていると、薊の下の部分から蜂が登ってきた。蝶も蜂もそして薊も必死なのである。私はふとこの命はいつまで続くのかなどと思ったりした。 顔を上げると相変わらず富士は裾野を拡げて悠然と聳えていた。 |
