芝居小屋  鳳凰座
下呂温泉から中津川方面へ車で約15分、国道257号沿いに「舞台峠観光センター」があります(おみやげがたくさんあります)。その100m程先に鳳凰座はあります。
美濃と飛騨の国境の峠、その名も「舞台峠」の麓にある芝居小屋です。
決して豪華でも華麗でもありませんが、この地に建てられて以来、人々によって息を吹き続けられてきた「生きた舞台」です。


●沿革
この鳳凰座は、もとは日枝神社の境内に拝殿型の舞台があったものを、1827(文政10)年に約200m離れた現在の場所に移築され、明治16年に客席を増築して劇場型となりました。
昭和28年に舞台、楽屋の建物半分を大改築。その際回り舞台が取り外されました。その後も便所の改修や楽屋の増築など何度か手が加えられました。
平成10年には大改修が行われ、屋根の葺き替えとともに舞台、楽屋も大幅に改修され、その際回り舞台が復活しました。

昭和の大改築で回り舞台が取り払われましたが、その際屋根にあった石が奈落(舞台の下)に入れられたようです。現在も舞台の下には当時の回り舞台の跡に石が埋められていますが、通常では見ることができません。
現在の周り舞台は、奈落ではなく舞台の上で回す「盆回し式?」となっています。
平成18年秋にはトイレが水洗化されました。
 
●大きさ
建物は間口18.3m、奥行き24.5mで、舞台は間口14.4mに直径が6mの周り舞台、長さ11mの本・仮花道を備え、人力による「スッポン」(花道にあるセリ)もあります。 
収容人数は約600人程度まで入ることができます。
 
●客席
鳳凰座の特徴は客席の造りにあります。
昔ながらの芝居小屋といえば、普通は舞台に向かってコの字形にほぼ総2階になっていることが多いのですが、この鳳凰座は花道を境に両サイドが棚田状になっているのです。こうすることによって空間が広くどこからでも舞台が見やすくなっていると思われます。



客席を見上げると、大きな梁が3本通っています。これは地元の山から村人総出で引きだして来たのだそうです。
実際にはもう少し長かったのですが、引っ張ってくる途中、道のカーブが曲がりきれなくて切り落としてきたのだそうです。
 
 
 
鳳凰
紅葉に鷹
日の出に鶴
(画像ありません)

青海波

 

●襖絵
鳳凰座に所蔵する道具の中に、和合蘭岱(わごう らんたい)が描いた4組の襖絵があります。
和合蘭岱は文政10年に地元御厩野(みまやの)に生まれ、幕末から明治・大正にかけて活躍した地元の絵師で、水墨画や日本画をはじめとして、多くの作品を残しています。
この襖絵は、蘭岱の代表的な作品で、現在でも大道具として御殿の場面に大切に使用され、舞台を盛り上げています。
これらは、下呂市の重要有形民俗文化財にも指定されており、一見の価値があると思います。ただし、年によって使用する演目がないこともあります。


●引き幕
鳳凰座には現在3枚の幕が備えられています。
@ 字幕(大正8年)
浅葱の生地に「鳳凰座」の文字が白抜きで雄大に書かれています。
麻地で厚く、約30sあります。
歌舞伎公演では、主に初幕に使われています。
A 定式幕(昭和47年)
いわゆる歌舞伎の定式幕。茶、緑、黒の幕です。
歌舞伎公演で一番よく使用されています。
B 宇治川先陣争い(昭和28年)
宇治川先陣争いを描いた図柄。
地元御厩野の人によって描かれた幕です。
以前はよく使われていましたが、傷みも多く最近はあまり使用されていません。
縁のある芝居の際には使われることがあり、勇ましい幕が芝居気分を盛り上げます。