人を好きになるって 疲れる。
だいたい、人間 愛がすべてなんて
そんなの絶対ありえなくて、
誠実さのみじんもない政治家と同じくらい
真実味も 信じる価値もなくて。
それなのに あたしは なぜ
こんなにも溺れているのでしょう。
【君のせい】 第8話 最終話
月の光と数十メートルおきの街頭だけを頼りに
あたしは家へと向かっていた。
できるだけ櫻井のことを考えないように
今日の晩ゴハンは何だろう とか、
は○トびをビデオにとらなきゃ とか、
明日から2学期だ とか、
そういうどうでもいいことをずっと考えながら歩いてた。
ずっとそんなことばっかり考えてると
別に恋なんてしなくても生きて行ける気がした。
だいたい 歌にしたってそう。
愛だの恋だの 好きだの愛してるだの
世界はその感情だけで成り立ってるワケじゃないのに。
急に頭の中に流れてきた
最近のラブソングが ひどく不快に感じ、
「愛なんていらぁ――――んっっっっっっ!!!!」
と思いっきり叫んでみた。
案外すっきりした。
「変質者。」
「あ?」
急に後ろから声が聞こえてきて 振り返ると
整った顔立ちの男の人がいた。
それが櫻井だと気付くのに、
そんなに時間はかからなかった。
「何?“愛なんていらーん!”って(笑)」
「なんだ、櫻井か。」
あたしはわざと つまらなそうに言った。
「冷てぇなぁ、おまえ」
櫻井は苦笑いして言った。
「てゆーか、は?」
「さぁ?まだ夏祭にいるんじゃねぇ?」
櫻井のそのあっさりした態度に
あたしは拍子抜けした。
「何それ!?なんで置いてきてんの!?」
あたしが何のために
ふたりっきりにしたと思ってんの
あたしが何のために
距離おこうって言ったかわかってんの
あたしが怒ってるのに気付いたのか
櫻井は少しゆっくりと話し出した。
「俺さ‥‥に言わなきゃいけない事があって。」
何かを決心したかのように 櫻井はあたしを見た。
あたしも何かを覚悟した。
「とうまくいった…?その報告しにきたんだ?」
自分で言って悲しくなった。
櫻井は表情を曇らせた。
「違う……俺、本当は別の人が好きだった…っぽい」
「え?」
何それ
なにそれ
ナニソレ
あたしは と櫻井なら許せるから
諦められると思ったから
だから今、こうしてるのに
凄くイライラした。
でも誰を好きになろうと
それは櫻井の自由であって あたしが怒る権利はない。
あたしは黙って下を向いた。
やばい。
悔しすぎて 泣きそうだ。
「ほんっっとにゴメン‥俺な、
のことが……好き、だった。
たぶん‥‥‥ずっと前から。」
静かな歩道の真ん中で
はっきりと聞こえたその言葉に
あたしは、耳を疑った。
顔をあげて 櫻井を見ると
月明かりに照らされた顔は 凄く赤くて
嘘じゃないと思い知らされた。
その瞬間 あたしは
泣いた。
櫻井はビックリして
とまどいながら、 でもしっかりと
あたしを抱きしめた。
櫻井の香水の香りがして
頭がクラクラする。
「‥‥‥キライ‥」
あたしの可愛くない口は
思ってもいない言葉を紡ぎ出した。
「内弁慶だしっ、ヘタレだし、
そのくせプライド高いし、皿洗えないし、
優しいし、カッコイイしっ‥キライだよー‥」
「うん‥」
「でも、 でもホントは翔が大好きなの‥!!
自分でもわかんないくらい大好きなんだよぉ‥」
やっと言えた。
ずっと苦しかった。
「知ってる。」
翔が耳元で笑ってるのがわかった。
「久しぶりに“翔”ってに呼ばれた気がする」
と言って翔はあたしのおデコにキスをした。
なんというか
世界は愛だけで成り立ってるワケじゃないけど
やっぱ愛がなきゃ 生きてけないなと思った。
(かなり自分中心でスミマセン)
あたしがそんなことを考えていると
翔は“すっげぇ恥ずかしーんだけど、俺”
と言ってその場にしゃがみこんだ。
あたしは笑った。
君のせいで 泣いて
君のせいで 苦しんで
君のせいで 笑って
君のせいで 幸せになる
いや、
君のおかげで 幸せになれた、 かな
いっぱい いっぱい 回り道をして
泣いて 悩んで
その分 きっと もっと幸せになれるよ。
ずっと一緒に。
君と共に。
☆☆☆☆あとがき☆☆☆☆
やぁ〜っと終わりましたね!!
かなりひっぱったわりには
凄くショボイ終わり方ですが…(滝汗)
とりあえず今まで読んでくださった方々
本当にありがとうございましたvvvv