平成21年第1回定例会 公立保育園の合意のないままでの民営化はしない陳情
◯15番【長内敏之君】 公立保育園・民営化計画案について保護者・市民の合意のないまま計画を進めないことを求める陳情は、採択の立場で討論します。
厚生労働省の調査で2008年4月、全国で2万3,000ヵ所ある認可保育所で公立保育所数が私立保育所を下回ったということが報道されています。比率が逆転しました。政府は、この間、公の施設、管理運営を民間事業者に委託できる指定管理者制度の導入(03年)や、公立保育所運営費の一般財源化(04年)を進め、保育の民営化に道筋をつけてきました。しかし、公立保育所があることによって、自治体は職員配置を改善するなど保育水準の確保に努めてきました。それが私立保育所への独自補助にもつながり、保育全体の水準を維持・向上させてきました。民営化の進行は保育の質に対する公的責任を大きく後退させるものです。
個人的な経験ですが、私は3人の子育てをしてきました。3人とも西保育園です。私も妻も勤めていましたが、母乳で育てたいとの思いを持っていました。上の2人はミルクでした。そのころ、母乳も出ていたことと冷凍母乳の専用の袋なども市販されていました。できれば母乳で育てたい。最後だろうからと3人目のときに思い切って西保育園の園長先生に相談しました。西保育園の先生はよく話を聞いてくれて、初めてのことでしたが、職員の中で相談してくれました。そして、条件を整えて、冷凍母乳を実現してくれました。私は、市の職員である先生を信頼していましたし、公立保育園の先生は市の職員だから市民の要望をきちっと聞いてくれたと思います。職員が専門家として母乳のよさや、それにこだわる親の気持ちが理解できて、その条件を整えてくれたと思い、大変感謝しています。
別な経験ですが、国立で小中学校の先生は異動が速くて、極端な話、小学校で一番古いのは6年生ということもあります。つまり、学校の先生は小学校の子どもの育ちを見ることができなくなっています。子どもたちは人生の節目、高校に入ったとき、悩んだとき、本来は母校の先生の顔を見て報告したり、相談したりしたいものです。しかし、国立にはこの育ちを見てくれる条件が少ないのです。国立の特色かもしれませんが、保育園の同窓会があって、結婚式に集まって保育園の先生を囲む例を幾つも知っています。たった一人の親が病気で生死の境をさまよっている中、本当に困ったときに保育園の先生に相談に行った高校生の事例も知っています。私は、この全体の奉仕者として国立にずっといる子育ての専門家として相談に乗って協力してくれる先生たち、さらに今後も地域の子育て、子育ち相談センターとしての役割を期待したいものです。
国立の公立保育園の保育実践は大変すばらしいものがあります。今回の市の保育園の民営化の提案は財政論から出たものであり、絶対やってはいけないものです。根拠になる数字1億1,000万円も、多くは2004年に国が公立保育所分運営費を一般財源化したこと、それに合わせて東京都が国庫負担の4分の1を負担するとしていた制度を廃止したこと、これが大もとです。一般財源化とは、地方交付税に参入しますよとして、国立市のような不交付団体では需要額に算入するだけで実質持ち出しになります。その分、支出が膨らみます。地方交付税制度の重大な問題点です。本来、少子化の中で手厚く子育てを応援しなければならないのに、国と都が一緒になって保育の責任を放棄しようとしているのです。国には金がないのではありません。子育ての心がないのです。グアムへの米軍基地移転の費用6,000億円あれば、90人の定員保育所を5,000ヵ所、45万人分新設できます。
このようなときにこそ、国立市は頑張って子どもたちとお父さん、お母さんを応援しなければならないでしょう。国立市で保育園は民営化しない方針でやってきました。ところが、今回この保育園の民営化が議会で出てきたのは、都市計画道路3・4・10号線の道路財源に触れたときでした。まさに国立市の保育園の民営化は、道路財源から出てきたのです。膨大な借金をして次世代まで残す、子どもたちまで借金を残す不要な道路を建設するために保育園の民営化を許すことはできません。市民の中に道路をつくるために保育園の民営化、公共料金の値上げは許せないということがあります。国立市は二度とこのような提案をせず、これを機会に日本じゅうに誇れる公的保育を進めていただきたいとして、陳情に採択の討論といたします。
国立市議会議員 長内敏之 のホームページ