夏から秋にかけてスズメバチによる刺傷事故が多くなります。この時期に別荘周辺を散歩すると、けっこう高い頻度でスズメバチに遭遇します。ご近所には屋根裏にスズメバチが巣を作ってしまい、業者に依頼して撤去してもらった方もいます。スズメバチシーズンを迎える前に、彼女たち(刺すのはメスです)に刺されないためにはどんなことに気をつけたらよいか、また万が一刺されてしまったらどう対処したらよいか、について調べてみました。
スズメバチが攻撃を仕掛けるまでの行動の変化には特徴があります。スズメバチに刺されるケースで多いのが何らかの形で巣に刺激を与えた場合だそうですが、スズメバチは巣に対する危険を感じ始めると、まず巣の周辺をせわしく動き回ります。さらに人が近づいたりして危険の程度が高くなると、人に対して威嚇行動をとります。この威嚇に気づかなかったり無視したりするとハチの攻撃が始まります。ただし、巣に与える刺激によってはいきなり刺しにくる場合があるので注意が必要です。刺される体の部位としては、手,腕,頭,顔,足が多く、動きのある部分,露出している部分,感覚器官の集中している部分,黒い色彩の部分が狙われやすいという傾向があります。
普通の人がハチに刺された場合、まず脈拍数が増加し、刺された部位を中心に炎症が起こって腫れあがります。体温は1〜3度上昇し、特に患部が発熱します。毒成分による痛みは数十分から1時間以上続きます。一度に何匹ものハチに刺された場合には、痛みは数時間も続くことが多いようです。腫れが引き始めるころには患部の痛みがかゆみに代わり、2,3日も続くことがあります。ハチの種類によっては患部の皮膚が壊死し、深さ3〜5ミリほどの陥没ができます。ただし、ハチ毒アレルギー体質の人が刺された場合は、ハチ毒に対する強いアレルギー反応(アナフラキシーショック)により、意識がもうろうとし、全身に発疹が現れ、呼吸困難となって危篤状態に陥る危険性があります。
スズメバチに刺されて死亡した人の直接の死因は、普通はハチ毒による作用ではなく(まれな例としてはある)、ハチ毒に対するアナフラキシーショックによるものです。つまり、一度ハチに刺されることによって体内にハチ毒に対する抗体ができ、2回目以降にハチに刺された際、体内に注入されたハチ毒と抗体とが反応(抗原抗体反応)してショック死を引き起こすものです。
ハチに刺されて死亡した人の大部分は、刺されてから1時間以内、普通は10〜30分以内の短時間にアナフラキシーショックが起こっています。従って、ハチ毒アレルギー体質の人がハチに刺された場合には早急な処置と治療が必要です。尚、スズメバチの毒とアシナガバチの毒には共通の抗原があるので、スズメバチアレルギーの人はアシナガバチに刺されてもアレルギー症状を起こす危険性が高く、その逆も同様です。(ミツバチ毒との間には、ほとんど共通の抗原性はないそうです)
ハチに刺されたら、まず患部を水で冷やします。これにより痛みや腫れの広がりを一時的に抑えることができます。次にすぐ医師の診察を受けましょう。特にハチ毒アレルギー症状を伴う場合は一刻を争います。ハチ毒アレルギーの人の場合は、その間の応急処置が効果的です。
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スズメバチはなぜ刺すか 松浦誠著 (北海道大学図書刊行会)